甲斐犬オヤジの独り言6



水無月姫よ、さらば


6月21日(日)午後3時私の目の前で息を引き取る。1週間ほど前から食欲がなく下痢ぎみの様子だったのだが、2日前まで夕方の引き運動にはそれでも喜んで付いて来たのだが、昨日朝から姿が見えず、ああこれは死期を察して山の中に行ったなと思っていたので、自然の本能だからそれも仕方ないかと落胆気落ちしていたのだ 。

夜には弔い酒で、「みなよ、さらば」「ありがとう」と声を出して話かけた。そして、酔いの回った頭の中に走馬灯のように、みな、との思い出が蘇る。住居の関係で山梨から川崎のマンションに一時帰ることになり、10頭いた犬達も其々の所にもらわらて行ったり仲間の所に預けたりで、生後半年の、みな、も知人に預ける ことになった。他の雌は貰われて行ったが、みな、だけは無理をいって預かって貰ったのだ。それぐらい子犬のときから期待していた犬だった。それは今まで子犬の内から期待した犬はほんの数頭しかいない。その中の一頭が、みな、だった。

展覧会で上位行けるかどうかよりも、私の感じる本質をもった犬であったのだ。入賞しな くてもこの犬だけは手放せなかった。利口で普段は大人しく歩様軽快猟欲抜群で敏捷さは他の犬の群を抜いていたが、欠点は雌のくせに喧嘩っ早いのは死ぬまで直らなかった。その死ぬ2日前の夕方の運動時も、近くのプロット系の雌犬の側を通ったとき、その犬が威嚇して吠えた途端に下顎に噛みつき振り回したのでリードを力一 杯引いて分けたが、なんと二回りも大きいそのプロットは小屋に入って出て来なかったのだ。

「みな、よーお前調子が悪くて4日も5日もえさ抜きでも喧嘩だけは直らないな。」と声をかけても、嬉しくて尻尾を振るだけである。

私の所では2〜3日のえさ抜きは当たり前、多少の下痢や雨降りの日は餌抜きである。(雨の日は原則餌抜き 但し3日間まで)勿論梅雨時はそうもいかないが、運動には出ないし、餌の量も普段の半分だ。それは虐待だ、可哀想だとお叱りを頂戴することだろうが、私はこのやり方を守ってきたし、今後もこのやり方でやっていくだけだ。何故か、2〜3日留守することが多いからだ。普段から慣らせておけば犬達も当たり前になり、大騒ぎす ることもなく留守番が出来るようになるのである。

みな、の話に戻すと、今日昼過ぎ外にいるとふらふらしながら私のまえで座ったのだ。

少し雨に濡れていたので、家にタオルを取りに戻って見ると、林の前で伏せている。

急いで駆け付けタオルで体を拭いて抱きかかえて家のなかへと連れて行くが、体が軽い。毎日鉄アレー5キロで運動しているが、あまりそれと重さが変わらないような気がした。私のパソコンの隣に座らせ水を飲ませたが、元気はないが飲んでくれた。そしてすぐ獣医の携帯に電話したが、今日は休みで近くにいないので帰りが遅くな るとの返事。明日なら朝からいつでもいいとのことで、行く前に電話することにした。何度かふらつきながらも伏せの位置をかえそしてゴロンという感じで横になり2度ほど大きな息をして眠るように静かに旅立った。そして私は「みな、俺のそばで死にたかったのか、最後の水も美味かったか?ありがとうな」と言って目を閉じて やった。

今年で8歳、馬鹿な飼い主が重病を見抜けず長生きさせられなかったが勘弁してくれよ。元気なら今月発情の予定だった。今回が最後の出産になるだろうと期待もしていただけにショックだ。

そして、みな、の後継ぎを残す予定だったが残念でならない。しかし、「大和の黒虎模様」のブログ主古宮さんの大和号や「甲斐犬パラダイス」のブログ主の河内さんの北杜の月姫号など直子達が活躍しているので安心だ。北杜の月姫は今月20日が3回目の出産予定日だから、みな、の生まれ変わりの雌が1頭でも出てくれるこ とを期待したい。そして、大和号には秋の展覧会で優勝を期待し願っている。

みな、との想い出やエピソードは沢山あり、呆気なく死んでしまったが、この犬には花があった。どの犬にも花があり実もあるだろうが、特に展覧会はそうだった。未成犬を除いたら総合優良審査まで毎回決まって出産後3ヶ月くらいでの出陳、毛 吹も戻らず今回は厳しいだろうと覚悟で臨んでいたが、「まかせろオヤジ」とでも言うように両隣の犬に対し大きくゆっくりと、ウゥーと唸り声をあげながら一回りして元の位置でピタッと止まり、立ち込むのである。こんなに飼い主の空気が読める犬はいないと思うほどだ。その結果の準優勝はまさに、犬が偉いのである。なかに は人が偉いと勘違いしている猿山の大将気取りのドアホもいるが、見苦しい限りである。みな、のパフォーマンスも花が有る犬と譬えられるのだ。普段の散歩中でもそうだが、雄犬とも互角以上に喧嘩するほどの気性だから相手が雌犬なら尚更だろう。だが飼い主は勿論人を咬んだことは一度もない。無いというより人が好きで人間 は絶対だと思っている。まあ一代一主ではない。しかし雌犬はそれでいいと思うがどうだろうか。だから、みな、も体力のあるうちに私に会いに体力を振り絞って出て来たのだろう。そして末期の水も飲み、本当に静かに死んでいった。襖をスーと開けて隣の部屋に行くかのように。

 

水無月姫よありがとう。縁があって俺の所に来てくれて、そしてさらば


 

 2009年6月 代表 小林

 

過去ログページに戻る


戻る